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マイボーム腺機能不全

マイボーム腺機能不全とは

様々な原因によってマイボーム腺の機能が瀰漫性に異常をきたした状態で、慢性的に眼の不快感を伴うことです。

マイボーム腺は瞼板内にある、上下の眼瞼縁に開口部を持つ脂腺です。 マイボーム腺から分泌される脂質はmeibumと呼ばれ, 眼瞼炎や 涙液最表層に分布して涙液蒸発を抑え、涙液安定性や涙液の眼表面への進展を促し、眼瞼縁での涙液の皮膚への流出の抑制、平滑な涙液表面の形成を助け、潤滑油としてまばたきの摩擦を減らすなどの働きをしています。

眼の不快症状は、多岐にわたり、ゴロゴロする、涙は出るなどがありますが、眼の不快症状がある方のうちかなりの割合でマイボーム機能不全があり、沢山の患者さんでQOL(生活の質) の低下を引き起こしていると考えられます。

このようにマイボーム腺機能不全は重要な疾患でありますか、臨床像が多様であること、軽度で自覚症状がある症例から重症症例まで重症度が広範囲にわたること、効果的な治療が少ないなどの理由で、あまり大きな注意を払われてきませんでした。

 

マイボーム腺機能不全の症状

・ゴロゴロする、目やにが出ている感じがする。

・まぶたが熱い。

・目が乾く。

・眼が痛い。

・目が疲れる。

・眼が不快である。常に目のことが気になる。

・涙が出る。

 

マイボーム腺機能不全の分類と診断について

1. 分泌減少型

原発性(閉塞性、萎縮性、先天性)

続発性(アトピー、Stevens-Johnson症候群、移植片対宿主病、トラコーマ等に続発する。)

2. 分泌増加型

原発性

特発性(眼感染症、脂漏性皮膚炎などに続発する。)

 

分泌減少型マイボーム腺機能不全の診断基準

1. 自覚症状 眼不快感、異物感、乾燥感、圧迫感等の自覚症状がある。

2. マイボーム腺開口部周囲異常所見

・血管拡張

・粘膜皮膚移行部の前方または後方移動

・眼瞼縁不整

3. マイボーム腺開口部閉塞所見

・マイボーム腺開口部閉塞所見(plugging, pouting, ridge など)

・拇指による眼瞼の中等度圧迫でマイボーム腺から油脂の圧出が低下している。

 

拇指による眼瞼の中等度圧迫でマイボーム腺から油脂の圧出が低下していることの判定は、例えば上眼瞼を親指で圧迫してでるmeibum(マイボーム腺から分泌される脂質)を確認することで診断します。

grade0:透明な meibum が容易にでる。

grade1:軽い圧迫で混濁した meibum が出る。

grade2:中等度以上の強さの圧迫で混濁した meibum がでる。

grade3:強い圧迫でもmeibum がでない。

 

分泌減少型マイボーム機能不全は涙液油層の減少から涙液蒸発量の増加がみられ、蒸発亢進型ドライアイになります。その結果として現れる角膜中央より下方の上皮障害や、涙液層破壊時間の短縮といった蒸発亢進型ドライアイとしての所見も分泌減少型マイボーム機能不全の診断の参考となります。

 

眼瞼縁に白いものがついています。眼瞼縁の異常所見です。

眼瞼縁が充血し、マイボーム腺の開口部が不整になっています。

マイボーム腺のつまり、まつげの毛根に白いものがついています。

マイボーム腺機能不全の治療について

目薬の治療→慢性的な炎症があることが多いので、点眼液で治療します。また、ドライアイの症状がある場合にはその治療をします。

眼瞼部の温罨法→自宅で行ってもらいます(必要な方には説明します。)。毎日、継続していくことが大切です。また、花粉症の時期、ものもらいなど、瞼に炎症を起こしているときはしてはいけません。

眼瞼部の洗浄(リッドハイジーン)→自宅で行ってもらいます(必要な方には説明します。)。毎日、継続していくことが大切です。

マイボーム腺圧出→診察室で行います。どんな脂がつまっているのか、もしくは、圧出しても反応がないのか、診断、治療をかねています。圧出して透明でない脂が多量に出るかたは、施術後、しばらくすっきりするというかたが多いです。マイボーム腺機能不全の治療を継続し、マイボーム腺圧出の状態がだんだんよくなってくると、「押されても、治療開始の頃よりいたくなくなってきた。」(脂が柔らかくなり、力をいれなくても圧出されるようになります。)と言われます。

マイボーム腺の圧出ででてきた正常でない脂です。正常な脂は透明です。

マイボーム腺の圧出ででてきた正常でない脂です。正常な脂は透明です。

どの治療も、基本的には、劇的に改善するものではなく、毎日のセルフケアがとても大事です。

まつげダニとの関係

最近の、マイボーム腺やまつげの根本に生息しているまつげダニがマイボーム腺梗塞やマイボーム腺炎に関係しているのではないかと考えられています。

日本人の7人に1人は、まつげダニに感染しているのとの報告もあります。

いまのところ、まつげダニは、点眼治療や内服治療で駆除することができません。

前に述べました、リッドハイジーンや温罨法、マイボーム圧出等で地道に治療をしていきます。

 

当院では、ドライアイ、眼瞼痙攣、眼瞼下垂症、マイボーム機能不全など、眼瞼、眼の不快症状を起こす疾患の治療も積極的に行っております。 マイボーム腺機能不全は他の疾患と一緒におきていることもありますので、症状のあるかたはご相談ください。

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