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緑内障

緑内障について

緑内障とは、視神経が何らかの原因で一般よりも早く障害されて、見える範囲(視野)が狭くなる病気です。病気が進行すると視野が狭くなっていきますが、自覚症状が現れにくい病気でもあり、気づいた時には、もうかなり進行しているということもあります。

現在の医療では、完治させることは残念ながらできません。また、一度視神経が障害されてしまうと元に戻すことができません。原因も分かっていませんが、眼圧(目の形状を保つ圧力)を下げる治療をすることで視野障害の進行速度を遅くできることは分かっています。

緑内障のベストな治療は、早期に発見し、適切な時期に適切な点眼治療を開始して、一生涯不便なく(できれば、自覚症状を感じないように)過ごせるように、コントロールしてあげることです。そのため、早期に診断を受けることが重要な病気です。

眼圧について

目のなかには、血液のかわりとなり栄養を運ぶ房水とよばれる透明な液体が流れています。目の形状はこの房水の圧力により保たれていて、これを眼圧と呼びます。眼圧は時間や季節により、多少変動しますが、ある程度、個人個人で一定の値をたもっています。眼圧が高いと緑内障になる、とのことから健康診断にてよく測定されています。しかし、眼圧の正常値は一応21mmHg以下ということになっていますが、日本人の緑内障は80パーセントが21mmHg以下で発症しており、眼圧だけでの診断はできません。緑内障の治療として、眼圧を下げることが有効なため、治療の経過、薬の効果を見る上で、治療前の眼圧と治療中の眼圧はとても重要となります。

視野障害の進行について

初期 目の中心からはずれたとことに、見え方の感度の低下した部分ができます。暗点(見えない点)でもなく、少しピントが合わずにぼやける程度で、自分自身で異常に気が付くことはありません。この段階で診断がつき、治療を開始できると、一生涯不便を感じることなく過ごすことができる確率が非常に高いです。

中期 暗点が拡大し、視野の欠損(見えない範囲)が広がり始めます。しかし、この段階でも、中心の見え方は問題なく、視力も良好です。また、片目により補われているため、偶然に片目を隠して見た、暗い部屋では急に見にくくなった等がないと、異常に気がつかないことが多いです。

末期 視野(見える範囲)はさらに狭くなり、中心の視神経も障害されるため、視力も低下します。また、人が急に飛び出してくる、ぶつかりやすくなった等日常生活にも支障をきたすようになります。さらに放置すると失明に至ることもあります。

緑内障の種類について

緑内障には、いくつかの種類があります。

原発開放隅角緑内障 房水の出口のある隅角はひらいていますが、眼圧が上昇します。ゆっくり上昇してきているため、痛み等の症状はでにくいです。ゆっくりと病気が進行していく慢性の病気です。健康診断の眼圧で異常が見つかります。

正常眼圧緑内障 眼圧が正常(10から20mmHg)にもかかわらず、緑内障になります。緑内障のなかで最も多く、日本人に多いと言われています。健康診断の眼圧のみでは見つかりません。眼底検査をしなくては、見つかりません。

原発閉塞隅角緑内障 房水の出口である隅角が狭くなっていて、眼圧が上昇します。慢性型と急性型があります。急性型は強い自覚症状が急に出てきます。

続発緑内障 外傷、角膜の病気、網膜剥離、ぶどう膜炎、他の目の病気による眼圧上昇や、ステロイドの点眼、内服等による眼圧上昇でおこる緑内障です。

発達緑内障 房水の出口のある隅角が生まれつき未発達であることからおこる緑内障です。

緑内障の症状について

慢性型と急性型で全く違います。急性型は急激に眼圧が上昇するため、激しい目の痛み、充血、吐き気などの強い症状を起こします。時間が経つと失明の危険があり、このような場合はすぐに治療を行い、眼圧を下げる必要があります。急性型も非常に怖い病気ですが、症状がでるため、医療機関に受診し治療を受けられる方がほとんどです。それに比べて慢性型は自覚症状がなかなかでません。視神経がゆっくり障害され、ゆっくりと視野の感度が落ちていくため、かなり進行しないと自覚しません。そして、一度生涯された視神経はもとにもどす方法がありません。治療は病気の進行を遅くすることだけしか現在の医療ではできないのです。つまり、慢性型の場合には、自覚症状の出る前に、できるだけ早期に緑内障を発見し、治療を開始することが非常に大切です。

緑内障の検査について

視力検査 現状の見え方を確認します。

眼圧検査 眼圧が安定しているのか、変動しているのかを確認します。今後の点眼治療等の変更、追加を考える上でこまめな測定が大事です。

隅角検査 眼圧は目の中の水の流れで調節されています。水の出口の部分である隅角に問題がないか確認します。

眼底検査 視神経の状態をみます。また、視神経乳頭(神経が集まって目の外に出て脳につながっていくところ)に緑内障の進行所見のひとつである小さな出血がないかをみます。この出血自体に治療の必要はなく、自然に吸収しますが、出血が高い頻度で確認されるようであれば、点眼治療の追加等を検討する必要があります。

眼底3次元解析 緑内障で障害される視神経の細胞の厚みを測定する眼底3次元解析があります。早期発見のみならず、進行の程度を早くみつけることができます。

視野検査 視野の欠損(見えない範囲)の存在の有無や、感度の低下の具合で緑内障の進行の具合を判定します。

緑内障の治療について

緑内障の治療は、眼圧を下げることを基本にしています。点眼薬での治療がまず行われる治療であることが多いですが、他にもレーザーによる手術、外科的な手術があります。まずは、検査をして、治療方針を検討して治療方法を決めます。

点眼治療 眼圧を下げるための点眼薬がおおいですが、神経保護作用のある点眼薬もあります。まずは1種類からはじめて、2、3剤に増やしていくこともあります。充血が気になったり、角膜に傷が付いたりすることもあります。点眼は基本的にずっと続けていくことが多いので、診察時に点眼薬の効果のみでなく副作用もでていないか確認しながら点眼を続けていきます。視野検査や、眼底の神経細胞の状態をファイリングシステムで経過を追っているため、必要時に点眼の追加等を検討していきます。

レーザー治療 レーザーを目の茶色の部分に当てて、目の中の水の流れをよくして眼圧を下げに行きます。効果は維持されるとは限らず、再度手術が必要なこともあります。

手術療法 目の茶色の部分を切り取り、目の中の水の流れをよくして眼圧を下げに行きます。効果は維持されるとは限らず、再度手術が必要なこともあります。手術治療は、緑内障の初期から検討される治療ではないことが多いです。点眼治療でも眼圧が下がらない等、一部の方が対象になります。手術が必要なかたは、しかるべき施設にご紹介させていただきます。

一度失った視野を取り戻すことができない病気ですので、40歳を超えたら、定期的に眼圧検査・眼底検査・視野検査などの検査することをお勧めします。

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