近視進行抑制について。
近視進行抑制の最近の知見について、勉強会にいってきました。
私が小学生のころは、眼鏡かけている同級生は非常に少なかったと記憶しています。
しかし、一昨年まで学校医をしていた時に、1年生で眼鏡使用になっている割合や、その後、高学年になるにつれさらに割合が上がっていき、近視になるのが低年齢化している感じはしていました。
勉強会でみたデータでは、近視化の低年齢化と近視の増加がはっきりとでていました。
世界的にも急増しているそうです。
日本では強度近視が失明原因第5位ですが、中国では第2位になっており、国策として近視予防に取り組み始めています。とは言っても、近視を治す目薬はありません。
最近の研究で、バイオレットライト(360-400nm)の近視抑制効果がわかってきました。バイオレットライトとは、可視光線の中の紫色の光で太陽光にあります。
以前からの研究で、1日2時間以上、戸外で遊ぶ子供は、遊ばない子供と比較し近視の進行を抑制されているとの報告があります。
子供が戸外で遊ぶ時間は昔に比べると減っています。1955年には3時間以上でしたが、1995年には37分と現象、その後の報告はないのですが、現在ではもっと少ないと思われます。
確かに、私が小学生の頃は、学校が終われば暗くなるまで公園でずっと遊んでいた記憶があります。
また、運動との関係を調べた報告もありましたが、運動よりも光環境が大事なようです。
興味深かったのは、昔から、「勉強ばかりしていると(本ばかり読んでいると)目が悪くなる。」(現代でしたら「ゲームばかりしていると目が悪くなる。」でしょうか?)と言われていました。
このようなことをまとめて近業作業(近くばかりみること)といいます。
研究では、近業作業を長時間しても、太陽光に1日2時間以上あたっていると近視抑制されていました。
研究会では、ゲームをするときに、室内ではなくて戸外でしたら近視が進まないのか?との質問もあり、研究結果からはそのように考えることができると回答がありました。
バイオレットライトは蛍光灯やLEDライトには含まれないので太陽光が大事とのことです。
しかしながら、1日2時間も戸外で遊ぶということは現代社会では現実的ではありません。
また、紫外線が引き起こす別の疾患も気になるところです。
いまのところ近視抑制に効果があるといわれているのが、戸外で遊ぶ以外には、「0.01%低濃度アトロピン」「完全矯正眼鏡」「オルソケラトロジー」などです。
当院で行っている治療もありますのでご相談ください。
バイオレットライト関係の製品化もすすめられているとのことで、期待したいところです。
最後に近視研究会の学童の近視進行予防7項目を転記します。
1.1日できれば2時間は外で遊ぶようにしましょう。
2.学校の休み時間はできるだけ外で遊びましょう。
3.本は目から30cm以上離して読みましょう。
4.読書は背筋を伸ばし、良い姿勢で読みましょう。
5.読書・スマホ・ゲームなどの近業は1時間したら5分〜10分程度は休み、できるだけ外の景色をみたり、外に出てリフレッシュしましょう。
6.規則正しい生活(早寝早起き)をこころがけましょう。
7.定期的な眼科専門医の診察を受けましょう。